Monthly Archives: 4月 2016

早期リタイアの必要資金の考え方において重要な2つのポイント(その1)

早期リタイアがHPや記事、雑誌等で取り上げられる場合に典型的に議論される内容が、一体いくらあれば早期リタイアできるのかといった話です。これ自体、年間の想定生活費と年金開始年齢や年金額等の条件がないとそもそも成り立たない議論ではありますが、その条件を満たした上での議論だとしても、個人的に考えて、この手の議論において決定的に不足していると思う重要なポイントが2点ほどあります。

今回はこの2点について、取り上げて書いてみようと思います。

まず1点目ですが、早期リタイアのための資金をどう運用するのか(あるいはしないのか)という視点です。これは、前にエントリーとして取り上げた以下のエントリーから始まる一連の話と少しかぶる話となります。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その1)

この一連のエントリーでは、株式や不動産への投資が必要と見なされるケースのために、主にこの両投資ビークルはどこがどう違っていて、それが我々にどういった影響をもたらすのかといった視点で書いた実務的な運用側視点のエントリーになっています。今回のエントリーではそれとはかなり趣きが異なる話で、そもそもなぜ株式投資や不動産投資等が必要になるケースがあるのかという必要性の話と、必要な場合にはそれを踏まえ早期リタイアのための必要額総額をどう考え、どうポートフォリオを構築するべきなのかという話になると思います。

なぜ、早期リタイアを志したときに株式投資や不動産投資が運用の選択肢の一部として浮上してくるのかと言えば、その理由のかなりの部分が、起こり得る将来のインフレに対してどう対応するのかというポイントだからだと思います。株式投資も不動産投資も完全ではないかもしれませんが、長期的にはインフレの影響とリスクに対して備えられる投資ビークルとみなせると思います。例えば、企業が商品を販売して利益を上げているとすれば、インフレが起こった時には、基本その企業の販売商品の価格も基調として上昇し、その企業の利益もインフレにある程度連動し上がることが一般論として想定できます。そして様々な企業の商品の価格が基調として上昇しているときには、人口減少その他で土地も家も余って仕方がないとかいう特殊要因等がなければ、家賃等の不動産関係の価格も上昇傾向になるのが自然です。

実際、超長期の内外資本市場において、程度の差はあれど株式のリスク資産は長期のスパンではインフレ率をはるかに凌駕するリターンを叩きだしてきたという統計実績があります。不動産については、前エントリーで述べたような理由で、株式のようには自明な形でインフレに勝ってきたことを示すことがなかなかに難しいですが、土地の値段の過去推移等の統計を参照するに、リスク資産の本質として基調としては程度の差こそあれ、株式資産と似たような推移を示してきたのだろうということは容易に推定できると思います。当然、ローカルな地域、市場の極端な結果を回避するために、できるだけ世界分散ポートフォリオを構築するのが一般的には望ましいと思いますが、ここではリスク資産のリスク分散をどれだけ追求するかが主題では無いので、このポイントはさらっと終わりにしたいと思います。

なので、1点目の重要なポイントは、準備すべき資金が遠い将来に備えるものであればあるほど、起こり得るインフレに備えられるポートフォリオの構築が必要と見なされるケースが多くなり、必然的に株式や不動産等、インフレに対応して上昇していくことが想定できる資産を一部持つことが想定されることです。

このような状況においては、年間不足生活費かける必要年数といった単純な算式では決して測れない、複雑なポートフォリオがもたらす投資結果が十分か適切かといったことが問われるわけです。結局インフレに対し、早期リタイア資金のポートフォリオ内で対策を持つのか、持たないのか、もし持つのであれば、それは株式なのか不動産なのか、もし株式ならばその成果は長期投資のキャピタルゲインでそれを得るつもりなのか、高配当株式の年間配当金でそれを得るつもりなのかといったことが要検討項目として浮上せざるを得なくなります。

そして早期リタイアのための準備資金の一部で例えば株式ポートフォリオを保有し、この株式ポートフォリオのキャピタルゲインでインフレに備えることにするなら、この部分は流動性資金として取り扱うことはできず、もはや年間生活費かける必要年数の単純な数式で準備資金の十分性や適切水準かどうか測ることは適切ではなくなる可能性が出てきます。

次にこの先に必要となると個人的に考えている重要ポイントがもう一つあるのですが、また長くなってしまいましたので、この点については次のエントリーで書いてみようと思います。

早期リタイアの必要資金の考え方において重要な2つのポイント(その2)

 

スポンサーリンク



マスターズ観戦(初日)

ゴルフの4大メジャーの1つであるマスターズが始まりました。よくご存じない方のために補足すると、テニスのウィンブルドン大会のような位置付けの、ゴルププレーヤー世界一を決める4大世界大会のうちの1つです。その他の3つのメジャー大会は全米オープン、全英オープン、全米プロとあって、それぞれが異なる特徴を持つ世界大会です。

例えば、全英オープンは、雨、風、気温の変化等、自然の猛威との戦いだったり、全米オープンは非常に厳しいセッティングのコースで精密なプレーの要求される大会だったりします。

今回のマスターズ選手権は、世界中から強豪プレイヤーを招待して行う、4大世界大会の中では最も華やかな大会です。コースもオーガスタ・ナショナルという名前の、世界でも有数の美しいコースで、ガラスのようななめらかで美しい曲線のグリーンやうねるフェアウェイが特徴です。滑るような転がりの早さと信じられない曲がり方をするグリーン上で、世界のトッププロがバーディ合戦を繰り広げる、ショー的な要素の最も強い大会となっています。

前置きが非常に長くなってしまいましたが、自身にとって早期リタイアして初めてのマスターズ大会なので、これをテレビ観戦していること自体が新鮮なわけで、それでこの話題を取り上げました。

昔、月曜日の朝に生放送される最終日のバックナイン(後半の9ホールのことです)の白熱の優勝争いに、「会社を休んでこれを今観戦したい!」と思いながら、会社に向かったことが何度あったことか。これからはこんな思いをすることなく観戦可能になったのだと思うと、非常に感慨深い限りです。昔とは全く違う生活をしているのだと、改めて思い知らされる出来事です。

 

スポンサーリンク



早期リタイアの場合、退職理由を会社に何と言えば良いのか?

このお題も結論は千差万別、個々人によりけりで正解は無数にありそうですが、また私の一例を提示させていただきたいと思います。

私のケースでは、退職理由はオフィシャルには、「一身上の都合」で、実際の会話上は、「給料が少ない」で、「退職したらすぐには転職はせずにしばらくは骨休めの予定」と会社には話しました。

近頃は世知辛い世の中で、通常の次を確保した退職の場合は、競合他社への情報漏洩を防ぐために即日出社禁止で有無を言わせずいなくなる人が多くなっています。そのせいで、そう言った状況で残される方々が、引き継ぎも満足にできず、残された業務の状況、内容もわからず、途方にくれるケースが多発しているように見受けられます。自分の場合は、このような会社への説明により、そのような事態に見舞われることもなく、様々な引き継ぎをきちんと行うことができて、割とスムーズな退職だったと思います。

興味深かったのが、40代後半での退職で、間をおかずに転職するつもりがないと話した結果、話した相手の誰しもが以降、リタイアして働かないつもりでいるとは思いもよらないといった反応だったところです。労働環境は決して良い方ではない業界だと思いますが、それだけに給料は世間一般的には良い方だと思いますし、そのつもりで職業人生を過ごせば、誰でも早期リタイア可能な職業だと思っています。それでも、私の経験からしても、知っている人で早期リタイアした人は1人2人しかおらず、改めて、この選択肢は世間的には非常にマイナーなのではないかと感じています。

まあ、早期リタイアに踏み切った人は実は数多くいて、その素振りをおくびにも出さずにいた方々がたくさんいた可能性もないわけではないのですが。通常は風の噂で「Xさんは次はA社に勤めているそうだ」という話が耳に入ってくるのが普通ですので、まあその可能性はあまり想定できないとは思います。

それだけに、普通でない選択肢を選んだ自身の将来がどう展開するのか、当人が一番楽しみにウォッチしている状況です。

正直、また会社員になる自分とか全然、イメージできません。

 

 

スポンサーリンク



ルーターの契約をSIMフリーに切り替えて通信料金を節約(その後)

ルーターの契約をSIMフリーに切り替えて通信料金を節約することを検討し始めたことを前エントリーで書きました。

ルーターの契約をSIMフリーに切り替えて通信料金を節約

早速SIMが届いて、早期リタイア後の日々の活動時間と活動範囲でSIMフリー通信契約を試してみました。納得するまで試してみた結果、参考にさせていただいたHPの結果で示されていた通り、平日の昼食時、つまり正確に12:00から1:00までの間に町の中心部で通信速度が極端に落ちる傾向にあることがわかりました。同時刻、同一場所でキャリアの通信契約であれば、いずれも最低でも10Mbpsはだいたいクリアできている感じで、やはり値段の差には意味があるのだとわかりました。

なので、昼食時の町の中心部でもストレスなく通信できて、どの端末からでもアクセスできる自由度の高いキャリアのルーター契約を解約するのは得策ではないとの結論になりました。代わりに、早期リタイア後はタブレットに通信契約が乗っている必要性は薄いということになり、新たにSIMフリー用のルーターを調達し、大容量バッテリーを乗せて基本、1日中付けっぱなし運用をすることが最も便利で、かつコスト削減にもつながるとの結論に達しました。早速新たなSIMフリー対応のルーターの調達に動いています。タブレットのキャリア通信契約は、月単位の締め前に解約しようと思います。

これで、月5千円程度は通信コストが削減できて、かつ今までと通信の質を大幅に落とすことのない運用が可能になると踏んでいます。

この対応方法でしばらく運用してみて、今後キャリア契約のルーター解約もしくはスマホをさらにSIMフリーに切り替える、さらなる通信コストのリストラを進められるかどうか、しばらく様子を見たいと思っています。

ルーターの契約をSIMフリーに切り替えて通信料金を節約(その後2)



ルーターの契約をSIMフリーに切り替えて通信料金を節約

早期リタイアを機に生命保険を見直したことは以前のエントリーに既に書いた通りですが、次は携帯機器の通信料金の見直しを検討してみました。

というのは、私一人だけでもスマートフォン、タブレット、ルーターと3契約を複数キャリアと結んでおり、その他家族の契約を含めなくても毎月何万円もの通信料を支払っています。一人で3回線もの契約を持っているのは、会社生活において長い通勤の間やその他の時間のいつでも快適に通信できてストレスなく端末から情報収集できるようにという理由で、それで異なる通信会社の複数の端末を3つ所有していたのです。どれか1つでもつながれば、テザリングでスマホもタブレットもノートパソコンでも通信が使えるというわけです。

しかしながら、一旦早期リタイアしてしまえば日常の行動範囲は家の近くの町に限られ、これからはそのような行動範囲で十分な通信環境が確保されればそれで良いことになります。

なので、一人で3回線を契約していて、一人で毎月何万円も払っている回線契約をリストラすべく、今回SIMフリー回線契約について調べてみました。

調べてみると、事前にある程度予想した通り、キャリア契約に比べ、SIMフリー契約の場合は通信速度の面で劣っており、特に平日の昼食時や夕方の仕事帰りの時間等、人々の通信ニーズが高まる時間帯に、SIMフリー回線の速度が落ちるようでした。

それでも、早期リタイアしたらもう、昼食時の都会のど真ん中や行き帰りの満員電車の中といった、大勢の人たちと同じ時間、同じ場所で通信するような状況に直面すること自体があまり無いことに気がつきます。SIMフリーに切り替えることにより、月額7、8千円もかかっていた通信料が、2千円台にまで下がるとなれば、これはもうSIMフリー契約に切り替えてくれと言われているかのようにも思えてきます。

なので、とりあえず最初に、ルーター契約のSIMフリー切り替えにトライしてみることにしました。

この検討を行った際の今回の手順は以下の通りでした。

(1)対象の端末(今回はルーター)に対応しているSIMフリー通信会社がどれだけあるか特定する。(HPで検索して調べました。)

(2)その選択対象となり得る通信会社のうち、通信速度の観点でどこが最も良さそうか選別する。(私は以下のリンク先のHPを参考にさせていただきました。)

http://kakuyasu-sim.jp/speed-test

(3)絞った通信会社に、望む月額通信プランがあることを確認して、通信会社を選択。(私は、月10GBのプランを最終的に選択しました。)

私が調べた範囲では、通信量無制限だと上限がなくて一見良いのですが、通信速度がとても残念な結果になっているようで、無制限に通信できても通信する気もなくなるような回線速度では意味がないと思い、上限ありのプランを選びました。スマホの契約であればMNPの手続きや本人確認データ提出が必要なようなのですが、ルーターの契約で端末を保有している私のケースでは両方とも必要ないようで、支払い用のカード情報だけでHP上での契約手続きが完了しました。

SIM到着まで一週間から10日程度かかるとのことですので、その間、楽しみに待っていようと思います。SIMが到着したら、現在のライフスタイルでの使用場所や時間帯でじっくり試してみて、もしSIMフリー通信契約が快適に利用出来るようであれば、タブレット及びスマートフォン通信契約のリストラも追加で検討したいと考えています。

また、SIM到着後や一定程度使用後に、このブログで追加報告すべき有用な情報等あれば、別エントリーを立てて書いてみようと思っています。

ルーターの契約をSIMフリーに切り替えて通信料金を節約(その後)



株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その5)

前エントリーの「株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その4)」の続きです。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その4)

前のエントリーまでで、株式投資は参入障壁が低く、β投資フレンドリーでそのお陰でα投資のハードルが高くなっており、逆に不動産投資は参入障壁が高く、β投資は実質不可能に近くて、弱肉強食のα投資の世界であるが、αのチャンスは市場の仕組み上、株式市場よりも期待できるというところまで書きました。

今回は、今までの話とはちょっと違った株式投資と不動産投資の違いについて触れてみたいと思います。それはレバレッジに関係する話です。

株式投資、不動産投資ともにレバレッジ投資を行うことは可能ですが、その時の条件はかなり違います。何が違うかと言いますと、主にレバレッジのポジションの測定やレバレッジ投資成果の測定が時価ベースか簿価ベースかという違いです。株式の場合は、レバレッジ投資を行いたいと思ったら、証券会社の信用取引を使うのが普通です。そこでは、レバレッジ投資にかかるすべての管理が時価ベースで行われます。

それはすなわち、投資先の株式会社がどんなに堅調に利益を創出していたとしても、例えば海の向こうの金融恐慌の影響を受けて足元株価が半分になってしまうといったケースに仮に遭遇したとすれば、もし2倍のレバレッジポジションを持っていたらそこでアウトです。口座内の全財産の時価総額は理論的にゼロになりますので、そこで全ポジションが決済されて終わりになります。透明な時価という客観的測定基準があるだけに、口座の維持の可能性測定は時価ベースで行われ、投資先会社の堅調な利益創出やそれに基づく将来の配当金分配の期待などお構いなしです。

一方で不動産投資の場合は、レバレッジをかける場合には、銀行やその他の金融機関による融資となるのが普通です。このレバレッジの源泉となる金融機関の資金貸付の場合は、不動産の時価が動いたからといってある日突然強制的にポジション決済されることはなく、不動産の賃料で収入が上がって貸付金が順調に返済されている限り、何の問題もなく不動産投資のレバレッジポジションを継続することができます。

この部分の株式投資と不動産投資の差が、レバレッジ投資に対する両者のスタンスに決定的な差異をもたらします。株式投資の場合はレバレッジポジションを継続できるかどうかは市場が決めるものであって自分ではコントロールができません。また投資先の会社に何の落ち度がなくても、アメリカの金融会社の野放途なリスキー投資による金融恐慌や、中国の企業群の見境のない過剰投資による酷い不況だとか、自身の責に帰するものではない不可抗力によって退場させられることがありえます。なので、単なる博打的な運用ではなく、リタイア用資金の株式による運用の場合は、多くのケースでレバレッジ運用はご法度となります。人生は何度もやり直せるものではないので、自らで管理できない要因によって口座残高が吹っ飛んで退場させられる可能性のある投資戦略はなかなか取れるものではありません。

他方、不動産投資の場合は、レバレッジポジションが他者が勝手に決める時価に基づき強制決済されて退場させられるような仕組みでないため、株式投資とは180度異なり、金融機関による資金貸付を受けてレバレッジポジションを構築することにより、少ない自己資金により大きなポジションを構築して、投資案件の自己資本利益率、つまり投資のリターンを向上させることは典型的に行われます。

つまり、早期リタイアを目指して株式のレバレッジポジションを構築してリターンの期待値を高めようとすることは、通常は命知らずの行動とみなされることが多いですが、不動産投資の場合は、投資案件が優良な案件である限り、金融機関による貸付を元手にしたレバレッジポジションは、不動産投資の成功スピードを加速するための普通の手法として使用される方法になっているという違いが生まれています。

当然のことながら、株式、不動産ともにレバレッジのポジション管理が時価であろうと簿価であろうと、投資先の案件が優良であるかどうかは非常に重要で、不動産のレバレッジ投資の場合も空き家続きで収入が入ってこなければ、貸付の返済ができずにレバレッジ投資は破綻することがあり得ます。それでも、時価で強制決済されるような仕組みでなければ、不可抗力的な外部要因や、市場の極端な熱狂と悲観によって有無を言わさず機械的に強制退場させられることはなく、投資のファンダメンタルが確かであれば、レバレッジがかかっていてもその成果はかなり計算が立ちます。

この部分は、明確に不動産投資が株式投資に比べて投資家にとって好ましい部分なのではないかと思います。この部分が株式投資と比べて非常に有利で、上手な不動産投資家はレバレッジでその成功を加速させることができるので、例えば株式投資と違って小口投資で分散することが難しかったり、世界中の不動産投資案件に地域分散することが難しかったりして、いわゆる現代投資理論的なリスク管理とリターン管理が難しかったりするというデメリットがあるにもかかわらず、早期リタイアのための投資戦略としてメジャーな手法として確立しているのではないかと私は考えています。

早期リタイアのための投資戦略としての株式投資と不動産投資についてその対比を行った場合の重要ポイントについて、以上の通り5つのエントリーでまとめました。当然のことながら、これだけで両者の投資の本質の対比が適切に行えたはずもなく、これらのエントリーで触れることの出来なかった重要なポイントもいくつもあるはずです。また、所詮は限られた1人の人生のごく一部の期間を割いての経験や知識の範囲内での考えですから、あちこちに至らない部分があるはずです。

それでも、この一連のエントリーが、これから早期リタイアを志す方や今まさにその道中におられる方に対して何らかの示唆、あるいは検討のための参考になりましたら幸いに思います。

 

 

スポンサーリンク



株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その4)

前エントリーの「株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その3)」の続きです。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その3)

前のエントリーで、メジャーな投資案件が公開市場に上場されていて透明な取引方法で誰でも取引可能な状況にあるかないかが株式と一般的な不動産への投資の場合の重要な違いであって、株式投資の場合はこの理由によって、βを取りに行く投資かαを目指す投資か選ぶことができるのに対し、不動産の場合はほぼ自動的にαを目指す投資になってしまう構造にあることを書きました。

それ以外にも、公開市場での取引であるかないかは双方の投資に重要な影響を与えていると思いますので、今エントリーではその点について書いてみようと思います。

証券取引所に上場している株式については公開市場での取引になりますので、流動性が著しく欠けていてかつマーケットメイキングが機能していない等の特殊な状況を除けば、その購入価格や売却価格は一定程度妥当な価格であることが構造上保たれています。寄り付き、ザラ場、引けといった発注のタイミング、あるいは指値での発注もしくは成り行きでの発注にしろ、基本買い手の買い指値と売り手の売り指値が出会うところでの値付けになりますから、例えば売り手がラッキーを狙って直前の価格や昨日の価格を極端に上回る指値で売りを出したとしても、成り行きの買い手はその凄まじく割高な価格で自動的に買わされるなんてことは通常ありません。実際は、まともな価格で売りを出した参加者と同じくまともな価格で買いを出した参加者が多くいて、それらの参加者の間で価格が寄り付き、成り行きの買い手も不利な価格で買うはめにならずに済みます。

これが中古不動産の購入を考えれば、売り手が仮にラッキーを狙って本当に妥当と思える価格の1.3倍の価格でとりあえず売りに出してみたとしたら、株式市場と同じ結果にはならない可能性があります。買い手に不動産の知識が十分になかったり、あるいは物件の重要な瑕疵を見落としたりしてしまえば、十分な経験や知識がある買い手なら決して買わない価格で物件を買うはめになってしまいます。

つまり、株式市場においては指値を入れている多くの市場参加者や、買いたいけど価格が高いので指値や成り行き購入発注をためらっている市場参加者、売りたいのだけど現在の値段が安すぎるので、売り注文を出すのを躊躇している市場参加者といった、顕在、潜在しているすべての参加者が今株式市場で寄り付いている価格に大なり小なり影響を与えていて、この機能により、全く株式の価格の妥当性を測る手段を持ち合わせない初心者やそもそもαを目指した投資をするつもりのないβ投資家が不利な価格で取引することになってしまわないように、価格形成を手助けしてくれる結果になっているわけです。当然のことながら、すべての顕在、潜在している市場参加者はそれぞれ純粋に自身のためにベストな行動を取っているだけなのですが、それが回り回って初心者やβ投資家を助けることにつながっているわけです。

したがって、公開市場での取引であれば通常、市場参加のための障壁が非常に低くなって、取引の安全性が上がるということが言えると思います。

これは別の言葉で言えば、初心者やβ投資家も、ベテランやα投資家のカモにならずに市場参加ができるということになり、これは逆に言うと、ベテランやα投資家にとって、取引相手の過失や知識の無さをもとにαを得ることが非常に困難なことを意味します。

こういう構造にあるから、株式市場からαを取ることを使命として仕事をしているプロの運用者の半分以上がαを取れないという憂き目に遭うのだと思います。

翻って、不動産取引においては、この公開市場が持つ透明性を有していない取引なので、構造上、取引のプロセスにおいてαを獲得するチャンスは株式取引よりも多く内在していると言えると思います。例えば本来ならもっと高い価格で売れる物件なのだけれども、売り手に一刻も早く現金化したい理由があってお値打ち価格で売りに出している物件を、やり手の不動産投資家ならば目ざとく見つけて、高利回り物件として非常に良好な投資成果につなげるかもしれません。

つまり、透明性があって参入障壁が低い取引であればあるほど、取引相手のミス等を期待しにくく、αが得られにくいといった形で、参入障壁の低さとαの得られやすさは一般に反比例する関係にあるのではないかと思います。

すなわち、ここまでの話で、株式投資ならば参入障壁が低く、知識、経験、ノウハウがなくてもβのリターンは簡単に獲得可能ではあるが、それだけにαを求め始めた瞬間に、偶然ではなく実力でαを得ることが非常に難しく、茨の道になってしまいがちだということになり、逆に不動産投資の場合は、参入障壁が高く、投資参加者の半分より上に位置する有能な投資家になる決意があってその努力をするか、そのための十分な能力を有しなければ、有能な参加者に逆にカモにされてしまうという厳しい市場ではあるけれども、有能な市場参加者であればα獲得のチャンスは株式市場よりも構造的に多く存在している可能性が高いということが言えるのではないかと思います。

もう一つ、重要と思っている早期リタイアのための株式投資と不動産投資の間の違いがありますので、また次のエントリーを立てて書いてみようと思います。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その5)
スポンサーリンク



株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その3)

前エントリーの「株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その2)」の続きです。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その2)

前エントリーで、早期リタイアのために投資が必要となる場合に、メジャーな投資ビークルである株式と投資用不動産を取り上げ、双方に関する違いについて書き始めました。ちょうど、投資のαとβの話をしたところで終わってしまいましたので、その先を書きたいと思います。

投資に関するαとβの話は株式に限った話ではなく、不動産であってもその他の投資においても出現し得る概念だと思います。それではなぜ、このαとβの話を株式と不動産の違いのところで取り上げたかと言いますと、株式投資においてはαを取りに行く投資も、βのみを取りに行く投資でもどちらも目指すこと自体は可能だと思いますが、不動産においてはβを取りに行くことが非常に難しいという違いがあると思うからです。

株式の場合は市場に上場されてる株式は、市場が開いている時には成り行きでも指値でも注文を出すだけで購入可能になっており、ETFやインデックスファンドを買えば、例えば日経225指数やTOPIX(東証株価指数)に連動する投資成果を得ることも可能です。対して不動産の場合は、今でこそREITという商業用不動産やその他投資用不動産のパッケージへの投資を可能にするビークルが上場されていますが、例えば日本全国のある程度以上をカバーする投資用不動産全体の投資成果を受け取る権利を持った投資ビークルは存在しません。不動産の場合は、いきおい、例えばある場所のアパートやマンションといった特定の1つの投資案件に投資せざるを得ないわけです。不動産市況自体は非常に好調で、全体としては家賃が上がっても借りたいという需要が非常に強いといった好ましい状況であっても、例えば近所の買い物のためのスーパーが倒産して不便になったとか近くで人気があった良い学校が落ちぶれてしまった等の非常にローカルな理由で入居者が入らなくなり、個別投資案件としては残念なリターンになるといったことがここでは起こり得ます。これは株式投資でαを狙い、非常に有望な1社へ投資したところ、株式市場全体は好調に推移しているのに、目論見に反してこの会社のビジネスが傾いてしまって株式が売られた結果、損する投資になってしまったという事例と似ています。

株式に投資する場合は、βを得るための投資かαを狙う投資かは選択の問題ですが、不動産への投資ではβを得るための投資を行うのは実質的には困難で、通常は自動的にαを求める投資になるといったところがまず決定的な違いだと思うわけです。

通常、βへの投資は誰にでも実現可能ですから、例えば株式投資の場合であれば、誰にでもできる方法を採る場合は、βのリターンが得られるように市場平均に連動するインデックスファンド等に投資し、それでも不確定な投資結果のボラティリティを可能な限り許容可能範囲内に限定するために、世界の市場に分散する地域分散、投資するタイミングを分散する時間分散を駆使して長期にわたって投資し続けることにより、株式資産が持つリスクプレミアムの獲得を目指す方法を採ることになると思います。

株式市場のトラックレコードについては、市場価格ベースのリターンとしての株式指数のヒストリカルデータが、もし過去、その指数へ投資していたとしたらどうなったかの判断に利用可能です。株式配当受け取りの効果を含むリターンについても、例えば配当込みTOPIX指数のリターン等、過去の推移を確認することができますので、株式投資においては、βへの投資を過去行っていたらどういう結果になったかの統計的、歴史的な検証が可能です。その結果、この株式市場におけるβを取りに行く投資の有効性、すなわち預金等に比した結果の優位性が一定程度学術的に認められていると言える状況かと思います。

それに対し、株式のαを狙った投資については、例えばアクティブ運用を行うファンドの半分以上がインデックスファンドや株式市場指数に勝てないといった典型的な統計結果が示す通り、成果を出すのが非常に難しいことで有名です。早期リタイアを目指したり、維持したりといった場合に、市場参加者の半数未満に入る良い結果を目指せば、その目論見に反し仮に市場平均よりも劣った結果となったとしてもそれを受け入れる他なくなります。株式市場の場合はここからは選択の話で、βを取ることを基本にした投資戦略を持つ投資家もいれば、何らかのαを取ることを目指した投資戦略を持つ投資家も現れます。

これに対し、不動産投資においては、誰にも狙えるβを獲得する投資手法が実質的に存在しないことから、必然的にαを狙う投資アプローチになります。すなわち、特定個別投資案件に対し、入居需要は継続的にあって空室リスクが顕在化することはないか、建物のリフォーム、改築等継続的な追加投資資金はどれくらい必要になるかやその他もろもろの様々な内容がいかに有望か否かを見極めることが肝になるわけです。これは株式投資でαを目指す投資家が行うファンダメンタル分析と本質的に同じだと思います。

こういった株式と不動産の取り得る投資アプローチの違いは、メジャーな投資案件が公開市場に上場されていて透明な取引方法で誰でも取引可能な状況にあるかないかが究極のところ影響しているわけですが、これがあるかないかが影響を与える重要な要素がもう一つありますので、これについてはエントリーを分けて、また書きたいと思います。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その4)
スポンサーリンク



株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その2)

以下のリンクの通り、「株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その1)」で標題について書こうとしたのですが、そもそも論として早期リタイアのためには投資が必要なのか?という命題を先に書く必要があって、それを書いていたら長くなってしまったのでその先の話を別のエントリーとしました。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その1)

というわけで、当エントリーではようやく、早期リタイアのために投資が必要な場合には、どんな投資戦略を採るべきなのかについて書いてみようと思います。ですが、前のエントリーでも書いた通り、こんな深遠な命題に対して普遍的な解があろうはずもありません。ここでは、限られた個人的経験や知識に基づいて、それでもなんとか言えるだろうポイントに限って書いてみたいと思います。

早期リタイアに関係する記事やHP、ブログ等を見る限り、資産形成期、資産維持期(もしあれば)、資産取崩期においての投資ビークルとしては、株式と投資用不動産が2大候補になっているように見えます。その他にも、もしかしたら個々人の努力や能力、才能、ノウハウ等に応じて、FXとかその他様々な投資の可能性があるかと思いますが、一般人には不可能に近いとも思える困難な道についての議論に入っていくようにも思えますので、ここではとりあえずその他の投資手法については除外して書くことにします。

株式も不動産も投資ですので、この資本主義社会の世の中では、基本的にはリスクに対してリワード(報酬)を求める形で資産価格に対する値付けがされているということは言えると思います。すなわち、期待値としては両者とも無リスク資産を上回るリターン期待値を持つけれども、そのかわりに両資産価格とも極論として価格ゼロに至るまでの資産価格下落リスクを持つということも共通かと思います。現代投資理論において、このリスクへの有効な対処の方法は分散投資ということになるかと思います。

こういう究極的なリスク資産の本質を議論する限り、株式と不動産には何ら変わりがないという結論になってしまいます。それでも株式市況と不動産市況は必ずしも同じようには動きませんし、また株式と不動産にはそれ以外の意味ある違いがいくつもあると思います。

個人的に一番重要な違いだと思うのは、投資の世界でいうαを求めるのかβを求めるのかという投資スタンスの違いです。念のため、αとβについて簡単に説明すると、投資資産市場全体のリターンがβで、そのβを上回るリターンを目指して得た超過リターンをαと俗に言います。株式投資でいうと例えば日経平均インデックスファンドに投資した時のリターンがβで、その日経225のうちの最も有望な1つあるいは少数の銘柄に投資し、日経平均を上回るリターンが得られたとしたらその差分の超過リターンがαになります。ここで重要なのは理論的にはβのリターンは誰でも取れるのに対し、αは誰しも取れるものではないということです。市場参加者のリターンの平均がβなのですから、正のαリターンを得た市場参加者がいたということは、その裏側でマイナスのαリターンに甘んじた市場参加者がどこかにいるということに他なりません。結局、αリターンを得るためには、市場に参加するためのコストも合わせて考えれば、市場参加者の平均よりずっと優れた何か、例えば技術、ノウハウ、運といったその他の要素が必要です。

うーん、本題も長くなってしまいそうです。こういうそもそも論を読みたい方がいるのかどうかもそもそも不明ですが、以降はまた別のエントリーで書いてみようと思います。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その3)

 

スポンサーリンク



株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その1)

これもまた、難しいお題です。普遍的な唯一の解などないことが明らかな命題かと思います。ここでは、非常に限定的な個人的経験、知識等の範囲内で言えそうなことに限って記述していこうと思います。

まず、標題の命題に取り掛かる前に、そもそも早期リタイアするために、投資戦略など必要なのか?という命題があるかと思います。すなわち、将来の必要生活費の内、国の年金等、構造的に生きている限りもらえる仕組みとなっている資金を除いて、不足する額を全額、現金、預金で準備してしまえば良いのではという話です。

多分、状況が許せば、これで十分なケースは多々あるかと思います。このアプローチで心配なのは、インフレの可能性と、年金のマクロ経済スライドを始めとする将来の年金制度に対する不安じゃないかと思います。なので、かなり年齢が行ってからのリタイア等で、不足する資金が例えば年金が始まる65歳までの資金等、非常に短い期間の資金である場合は、足元インフレなど起こっておらず年金のマクロ経済スライドすら発動の機会がないくらいですから、インフレの心配など全くもって必要なく、リタイア資金を現金で準備すればそれで十分と思えるケースは多そうです。特に年金が始まれば、マクロ経済スライド等あっても、年齢を重ねれば普通は必要生活費は徐々に下がりそうなものですから、年金開始以降の生活費が想定年金受取額とある程度バランスしていて、以降の不足額をあまり想定する必要がない場合には特にそうだと思います。

ただし、国の年金制度についての不安があって、現行で見えているマクロ経済スライドを超えて適用されるかもしれない将来の不利な制度変更等に対する備えが欲しいという場合は別途、資金準備期、資金維持期を通じ資産運用を考える必要があるかもしれません。

そういった特殊な準備のための資金ではなく、現在見えている年金制度の範囲内での65歳までの限られた短い期間のための資金準備等がメインの場合は、資金積立期、資金取崩期を通じ、特段の準備資金の投資の必要がないというケースは普通にありそうです。

そのような場合は、そもそも投資の必要性がなく、投資とは無縁なまま早期リタイアが実現できそうですので、今回のエントリーのようなことは考える必要がなさそうです。残念ながら、私の場合は早期リタイアのための資金準備の時代も早期リタイア以降の今後においても、資産運用は必要不可欠な要素になっていますので、標題のような命題は非常に意味のある命題になっています。だいぶ長くなりましたので、この命題に関する本題はもう一度エントリーを立ててまた今度書いてみようと思います。

株式投資?不動産投資?早期リタイアのための投資戦略(その2)
スポンサーリンク