投資、特にバフェット方式の集中投資、バリュー投資を成功させるためには、記事の読み方、情報の掴み方はとても重要です。自身の仮説の立案、検証、修正等には歪みのない良質な可能な限りの多くの情報が絶対に必要です。ここでは、記事や情報を読み解くときに重要と私が考えるポイントについていくつか列挙しようと思います。
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1.この世の中に歪みや偏りの全く無い記事は存在しないと思うべし
最近では、この主張について疑問を持つ方は以前より少なくなってきているかもしれません。マスコミは読者に見せたいフィクションの世界を信じさせるために、事実の中に解釈や偏見、最悪の場合は嘘を混ぜ込み、また都合の悪い部分は報道しない自由を織り交ぜて、歪んだ記事情報を垂れ流してきます。こういった歪んだ情報にそのまま騙されていては、投資は成功させようがありません。まずは、世の中の記事や情報は、すべからく書き手が望む一定の方向性を信じさせようとする意図があるものとあらかじめ想定して読み解く必要があります。
2.事実と意見を分離し、他者意見はとりあえず無視すべし
上の1で書いた内容を踏まえ、記事や情報を読み解く場合は、これは事実か意見かを常に選り分けながら読み進める必要があります。そして意見の部分はとりあえず全て無視しながら読むようにします。こうして読み進めていくと、なぜこの事実からこの意見になるのか、何とも納得しがたい記事や記述にしょっちゅう出会います。論理の筋が通っていないと納得がいかない部分がしょっちゅう見つかれば、適切な態度で記事や内容に接することができているサインです。また事実であっても、その事実に合理的な意味があるかどうかもとても重要です。例えば統計的な結果という事実を示すものであっても、有意水準を考えれば測定誤差の範囲をはみ出ない結果であって何の結論も導けないケースや、そもそも標本統計データの集め方が偏りを生じさせる方法であったり、設問の作り方が特定の結果に誘導する方向の設問であったり等、統計的な落とし穴にも気を配る必要があります。
3.可能な限りの偏りがない事実に近づくために、ソース情報に当たるべし
可能な限り歪みのない情報を得る簡単な方法として、ソース情報にまで辿っていき、もっとも正確で網羅的な情報を得るのがとても有効です。1のように全ての記事に歪みがあるので記者や報道機関の歪みが入る前のソース情報に当たるのが良いのです。これは毎四半期の企業決算報道を見れば典型的に確認できることです。例えばある1社の四半期決算結果に対して、売り上げ過去最高と調子の良い企業決算を報道する報道機関もあれば、純利益が対前年減少といったマイナス面を強調する記事も現れます。また、最高益決算と報道しながら、直後の時間外取引で株価暴落と付け加えられていたり、1株利益対前年減少とネガティブ報道しながら、直後の時間外取引で株価が大幅上昇していたりと、投資家目線ではトンチンカンな報道記事が後を絶ちません。
たとえ絶好調な企業決算にも、不調に見える一部指標は存在し、逆に絶不調な企業にも1つぐらいは見るべき良好な要因はあったりするものです。報道の方が歪んでいると良いところや悪いところの一部にのみライトを当てて一方向の印象を与えようとする記事に仕上げてくるのが常套手段です。また記者や報道機関は大抵素人ですので、最高益決算で直後の時間外取引で株価暴落といった、ある意味恥ずかしい報道を平気でします。明らかに投資家はもっとすごい良い内容の決算を期待、予測していたことをこれは意味するのです。
こういった歪みを自身の中に入れないようにするには、ソース情報にまで辿ることがとても有効です。上記の例で言えば、実際の企業の四半期決算の内容を直にその企業のホームページに行って確認するのです。そして、なぜ史上最高の四半期売り上げだったのに純利益が対前年同期比で減少したのか、その要因を決算報告書や資料で確認するわけです。このようなことを完全消化し完全に腹に落とした上でないと、この企業に投資などできません。
4.何らかの理由で大元のソース情報にアクセスできない場合も、可能な限りの多くの別記事に当たり、一面的でない情報を獲得すべし
言語の問題やその他の様々な要因で3で書いたようなソースに当たることができない時も、可能な限り多くの異なる記事や情報に当たり、一面的ではない理解を得ることがとても重要です。立場が異なったり、逆の立場の記事や報道機関に接することにより、ここは事実を根拠にした論ではないとか、ここで報道しない権利を行使して不都合な方向に論が飛ばないようにしているなということが、様々な立場の記事や報道、情報に同時に当たることによって見えてきます。
5.上記を実現するために英語を身につけるのは対労力効果としてとても有効
上記の全てを実現するためには、英語を身につけて英語の記事や情報にきっちり目を通していくことがとても有効です。英語ができれば、ソースにまで辿れるケースがとても多くなり、歪みが入る前の情報にアクセス可能な状況が増えます。また、中華圏やその他英語圏以外のニュースや情報においても、英語記事等に翻訳されることはとても多く、世界の情報が最も広範囲に入手できるようになります。
上記の1から5のような点は、株式への集中投資、バリュー投資を行うには必須の守るべき態度ではないかと思います。というか、これがこのような投資を行おうとする際のスタート地点になると思います。良質な情報がなければ、仮説の検証などおよそ不可能となり、ただの願望に基づく投資になってしまいます。願望に基づく投資はまさに破産や失敗のための手法になってしまいますので、私自身もこの態度をいつまでも決して忘れないようにと注意しています。
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