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ゴルフ – ワンレングスアイアンの使用経験記録

デシャンボーの全米オープンでの無双の活躍に刺激を受け、ワンレングスアイアンが気になってしまったので、早速購入して試してみました。この購入の過程で困ったのが、使用感やメリットデメリット等、巷の情報が少なすぎること。そして、使ってもいないのに、酸っぱいブドウのように想像でネガティブな話をする記述がとても多い。結局のところ、これはただの想像の話、これは一回借りて練習場で試打しただけの感想、これは商品売り込みのためのお花畑の話と、実際に使いこむとゴルフの内容がどうなるのかの実情が調べてもさっぱり分からない。そこでせっかく人柱になったことですし、自身の経験を世間の役に立てるべく、ワンレングスアイアンの使用記録をここで記すこととしました。

 

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前提)前提となるスイング等をはじめに記します。当方、50台前半、中肉中背、腕は長め、肩幅広め。行なっているスイングは、左腕とシャフトをほぼ一直線にして構えそれで形成される面に沿って振るワンプレーンスイング。グリップは左手ウィーク気味、右手ストロング気味。アドレスは棒立ちに近いアップライトな構え。スイング中、フェースを出来るだけ開かずフェースを手先で操作せず、シンプルに振っている。このスイングのためにグリップは太めにしてテンフィンガーで握るが左親指はシャフトに沿う伝統的なポジションにしている。ベストスコアは74。アイアンは7番で150yくらい。

目的)アイアンの構えの一本化によるスイング単純化とそれによる再現性の向上とミスの軽減、必要練習量の削減効果が狙い。

試した結果)
1.伝統的なアイアンセットからの切り替え直後にどうなるか、使い込むにつれての変化は? 

クラブが届いてから最初に、6I、7I、9I、GW、SWを持っていつも行ってる打ちっぱなしへ。クラブはグリップを太く変えただけで他は何もいじらず打ってみました。結果は大満足。どのクラブもわずかなドローかストレートの軌道で素直に飛び、最初からちゃんと当たりました。伝統的なアイアンクラブセットでは長いアイアンは捕まりにくく、短いアイアンは引っ掛けやすい傾向があったりしますがその様な明確な傾向が現れにくいアイアンセットの様に思います。伝統的なアイアンセットの傾向ゆえに短いアイアンを持つと自然に軽く加減してスイングすることが長年の習性になっている感がありましたが、このアイアンセットの場合はクラブを替えてもスイングの力感を変える必要がない。なのでウェッジを打った後で6Iを握って素振りもせずに無造作に打ってもちゃんと当たる。結果としてどのクラブも芯に当たりやすく、練習するとクラブフェースのセンターに綺麗な打痕がくっきりと残ります。自分が突然上手くなったかの様に錯覚してしまうアイアンです。

今時からしたらそれほど強烈なストロングロフトのアイアンではないので、飛距離は飛ばないわけでもなくびっくりするほど飛ぶわけでもなく一般的。日頃どういう力感で振るかによって10y20yは軽く変わってきそうな感じがします。このアイアンは振り回しても長いアイアンが捕まらなかったり、短いアイアンが引っかかったりしにくいので、長打のゴルフをしたければ強振して振り回す方向でスイングを揃え、シュアなゴルフをしたければ6割くらいの力感で全アイアンを同じように軽く振ることもできそうです。

とりあえず買ったセットの中で6Iが一番ロフトのないクラブなのであまりロングアイアンの傾向はわからないのですが、6Iまでなら球が低すぎてグリーンで止まらず困る事は無さそうです。6Iでも十分球は高く上がって飛んでいます。将来、5Iを単品追加購入する可能性もありますので、その時は追加でレビューしたいと思います。

練習場で練習した限りウェッジはクラブが長い分、軽く振っても飛距離が出やすい感じがします。ウェッジの球の高さだけは最初ちょっと驚きますがすぐに慣れました。事前想定ではロフトの多いウェッジをピッチを詰めて多く持った方が良いのではと想像していたのですが、実際に打ってみた感触は真逆でした。クラブが長い分、うっかりヘッドが気持ちよく走ってしまうとロフトの多いクラブでも思わぬ距離が出てしまう。この方向のアプローチではグリーン大オーバーのミスが続出しそうです。なので逆に、構えやグリップの持つ位置を変えずにポスチャーを変化させないまま、能動的にクラブのヘッドスピードをコントロールしに行って距離を打ち分けた方が上手くいきそうな感じがしました。

ショートアイアンやウェッジも長いから打ちにくいと感じる事は全然なく、なんの細工も意識もせずにドーンと打てば普通に芯に当たりまっすぐ飛んでいきます。

後日、7Iと同じ長さの24度のロフトのワンレングスのウッド型ユーティリティを一本追加購入して試してみました。このロフトでは普通の長さのクラブではボールが上がらなくて困ることはないクラブです。試すとワンレングスでも、個人的に球の高さは全然問題ありませんでした。ボールは高々と上がって上から攻めることができます。もう少しロフトのないワンレングスクラブでも普通に使いこなせそうです。

ただし、この辺りから、打つボールがフェード系かドロー系か、鋭くビュッと振るタイプかドローンと振るタイプかで短いワンレングスのロフトの小さなクラブが使いこなせるか、使用が難しくなるか分かれてきそうです。持ち球がドローでインパクトで明らかにフェースを立てて閉じて使う人や長いクラブをドローンと振ってヘッドスピードを上げていくスイングタイプの人は、ロフトの少なく短いワンレングスクラブは球が上がりづらく、使いづらくなるかもしれません。

使い込んでいくうちの変化がありましたら将来、追加で文章を記載しようと思います。

2.ロングアイアンは短くなり打ちやすくなるか?

一番ロフトの小さいアイアンが6Iでしたので、十分な検証ではないですが、特段打ちにくくもなく、ほかのアイアンと同様に打てます。特にウェッジを打った直後に6Iを打った時のストレスのなさ、簡単さは未だかつて無かった経験であり特筆ものだと思います。

3.ショートアイアンは長くなり打ちにくくならないか?

私は全く打ちにくさは感じませんでした。それどころか、多分、一発目からなんの細工もせずに普通にちゃんと当たったように記憶しています。ウェッジの球の上がり方だけは最初ちょっと驚きましたが、すぐに慣れました。逆にセット中に伝統的な長さのウェッジが混ざると球の上がる見え方が変わるので、逆に距離感の合わせ方が難しくなるような気がします。

4.ロングアイアン、ショートアイアンの左右の曲がり傾向はどうなるか?伝統的なアイアンと違いがあるか?

伝統的なアイアンセットより、ロングアイアンとショートアイアンの飛び方、球のつかまり方に差が出にくく、ドローの人は全部ドロー、フェードの人は全部フェードで揃いやすいと思います。

5.アイアンセットとして、適切な飛距離の階段はできるか?

今の所、6I以下しか持ってませんが、適切な距離の階段はできていると思います。ただし今の所、5I,4Iを打つとどうなるかは試していないのでわかりません。球が上がらず、適切な距離の階段ができない可能性はあります。

6.ドライバーやフェアウェイウッド等とのバランス、繋がりは?

ドライバーを使う機会のあるショートコースに出ても、特に今までと違ってドライバーが打ちづらくなったりといったことはなく、以前との変化は特に感じません。

後日、本コースに出ましたが、そこでも特に新たな不自由、不都合は全くなし。ドライバーのナイスショットとアイアンのナイスショットが両立し、どちらかが調子良いと、どちらかが悪いと言った逆相関もなし。

7.再現性は向上するか、ミスは減るか、必要練習量は減るか?

練習場で明らかに、フェースのセンターに打痕が集中し、再現性が向上し、特にロフトの小さいアイアンのミスの確率が減っていると感じます。必要練習量が減るかどうかについて、ラウンド前にも全く練習せず、最初の一回目以降練習場にも出来るだけ行かないようにして実験中。結果の結論が見えたら後日記載予定。

個人的には、必要練習量が減ることが一番望み期待していることです。若者の時代でもありましたが、練習をすると一番よくあるのが、ボールとクラブフェースの衝突のダメージが体に残ります。最近の練習場のボールはよくできていて、昔の様なゴムまりの様なボールではなく、本コース球に近い感触になっている練習ボールが多い。それだけにたくさん練習すると体にダメージが残ります。目的は良いラウンドとプレーをすることなので、練習せずにその目的が達成されればそれにこしたことはない。それに、手首や肩や首が痛かったり、ずしりと重くなったりしたら、それだけでクオリティオブライフが損なわれます。練習場に行って練習するたびに数日間はそうなるなら、そうならない方法を見つけたい。最近はかなり故障とは無縁になりましたが、それでもこのまま同じ事を続けてると、数日で消える違和感ではなく、いずれ本格的な故障につながる事もあり得る。だから、この問題を解消して、不快な体の症状なく長い間楽しくゴルフをプレーし続けたい。そのために一番簡単で良いのが、練習場に全く行かなくても調子が保て、真夏や真冬等、長い間プレーを休んでいても、再開すると練習場に行って練習しなくてもすぐにちゃんといいショットが打てる様な状態になること。そのためにはスイングも道具も可能な限り単純な方が良い。なのでその可能性が高まると思われるワンレングスアイアンに魅力を感じたわけです。

特に多くのクラブをワンレングスで揃えられれば、久しぶりのラウンドでも、ワンレングスで合わせたクラブでプレーを数ホール進めていくと、まるで練習場で何度も同じクラブでボールを打っていると球が整ってくるように、ラウンド行為自体が次の球を上手く打つための練習になり得る。その可能性すらあるのではと思っていて、ラウンド開始時に調子が悪い時等があったら、ぜひ試してみたいと考えています。

なので、次の課題はユーティリティ等、距離の稼げるクラブをワンレングスで揃えることができるか試すことです。良い球が打てなければ意味がないので、実験して達成できる目標かどうか確かめようと思っています。

8.ワンレングスアイアンを使いこむとゴルフがどう変わるか、変わらないか。

ショートコースに出ても最初の練習場でのイメージは変わらず。今までと同じように、ナイスショットを打てばピン筋にまっすぐ飛び、上から落ちて止まる。違うのはショートアイアン以降、ほぼ全てのクラブで一段高い球で上から落ちてくる事だけです。コースに出たら打ちづらさが出たりと言った変化は特になく、普通に今までと同じように打ててコースとピンを攻める事ができました。ウェッジでは今までより10y増しくらい飛んでいる気がしますが、それを踏まえて攻めれば結果は以前と全く変わらない。

後日、本コースに出ても、上記の印象は全く変わらず。今までと同等かそれ以上に、ちゃんと活躍してくれました。

9.その他注意事項
 
私はUSのオンラインストアで購入したのでそのままではライ角度がアップライトすぎることがわかっていたので、カスタム可能な注文方法を使い、少しフラットに仕上げてもらいました。基準である7Iのライ角度を伝統的なアイアンの適正ライ角度に合わせると良さそうです。シャフトはカーボンの80g台のXシャフト相当。今まではカーボンの100g台のXシャフトを使用。今回はロングアイアンの飛距離が十分でない恐れもあるのでアンダースペック気味のチョイス。

10.今後の方針

結果的に、今のところ私にとってはワンレングスアイアンの使用はかなり満足感の高い選択だったと思います。個人的にアイアンをワンレングスに変えても普通にちゃんと打てるのではという事前予想をしていたのですが、それと結果が完全に一致しました。間違いなく、行なっているスイングがワンレングスアイアンと親和性が高いことが事前に予想されたからです。伝統的なスイングでは、アドレスではハンドダウンに構え、多くの人はそのアドレスの通りのハンドダウンの形のままインパクトしておらず、大なり小なりアドレス時よりもハンドアップの状態でクラブがインパクトを抜けていきます。これで何もしないと、ボールよりかなり先、つまり地面より下を掘ってしまい、大ダフりになってしまいます。そうならないのは、人間の優れた感覚で帳尻を合わせる調整をスイング中にしているからだと思います。問題なのは、クラブが長くなればなるほど、この要調整距離が一般に増大してしまう事です。なので一般的なアイアンセットでは、ハンドダウンに構えた場合にこの一本一本異なる調整幅を本能的に適切に合わせる無段階変速機の機能を人間側がスイング中に果たす必要があります。逆にそれが普通に無意識にできている上手な方は、真ん中の7I以外がワンレングスだと要調整距離が一般のアイアンと全然異なるので、それで今まで本能的に自然にやってきた事と異なり慣れるまでは上手くいかなくなるのだと思います。

逆に私はハンドアップに構えて、出来るだけ左腕とシャフトの地面との角度がアドレス時とインパクト時で変わらないようにスイングしているので、アイアンセットをワンレングスにしても上のようなスイング時のボールとの要調整距離がほぼ発生しないスイングのため新たなノイズが発生せず、どのクラブでも同じポスチャーで同じスイングができるメリットのみを享受できているのだと思います。

というわけで、事前想定通り、ワンレングスアイアン使用で個人的にうまく行くことが実証できましたので、このままこのアイアンセットを使い続けていこうと思います。そして、最も重要な、練習の必要性が減るか、長期のお休み後にも簡単にナイスショットが打てる様になるか、見極めていこうと思います。また、ラウンドで打ち続けるとそのまま次のショットの練習になるかもしれない、ワンレングスのメリットを最大限に活かすためのクラブセット内容をさらに追求していきたいと考えています。

最後に一般的なまとめ。使ってみた私が考えるワンレングスアイアンを試す価値のある人について。

明らかに、初心者、中級者の方で特にロングアイアン、ミドルアイアンがコースで全然当たらなくてスコアにならない人が一番試す価値があると思います。ゴルフは練習場で何発か打って、それでちゃんと打てる様になっても何の意味もなかったりします。ほんの一部のプロや上級者の様にトラック一杯分球を打って体に染み込ませたスイングなら大丈夫かもしれませんが、そんな暇も体力も熱意もない普通の平凡な一般人は、練習場で起こる事がずっとコースで起こる可能性が高い。つまり、コースではクラブは状況によって持ち替えるのが常であり、だいたいいつも一発目で、だいたいいつもミスショットになりがちです。これから練習してシニアプロやトップアマを目指すとかでなければ、1振り目からナイスショットが出るクラブでセットを組んだ方が良いと思います。

次にワンレングスアイアンを試す価値があると思う人は、ロングアイアンでスライス、ショートアイアンでひっかけと右左真逆なミスが出る傾向のある人。ワンレングスアイアンを使うとこの傾向を変えられる可能性があると思います。私もご多分に漏れず40年のゴルフ歴で昔からロングアイアンと同じように振るとショートアイアンが引っかかるので、若い時はフェースを返さないパンチショットで強制的にラインを出すショットを多用していました。これも、長さのせいでロングアイアンは操作しにくいのに、ショートアイアンは操作しやすすぎてスイング中、容易にフェースが返りすぎてしまうからだと思います。これが長さが揃うと、この伝統的なアイアンセットの傾向が緩和されて改善する可能性があると、実際に使ってみて感じました。

そして、何らか理由があってゴルフを単純にしたい人。私もその一人です。ポスチャーが多くのクラブで同じになり、スイングがほぼ同じで良くなる。これで再現性の向上、ミスの発生を減らす、必要練習量を減らすことも期待できると思います。ただし、日頃より、70台、80台で回っている上手な方はそもそも1ラウンドで何回もアイアンではっきりわかるようなミスショットをしないと思いますので、再現性の向上やミスの発生率の低下で目立った効果は感じられないと思います。特にハンドダウンに構え、構えよりハンドアップなインパクトを迎える伝統的なスイングで上手な方は、構造上、移行に新たな慣れが必要になると思うので、試すメリットよりデメリットの方が大きい可能性があります。

あと、パワーにかなり自信のない方でロングアイアン、ミドルアイアンで易しくなるメリットを求める方は、ロング、ミドルアイアンの長さが短く易しくなるメリットより、短くてヘッドスピードが出にくいデメリットが勝ってしまうかもしれません。ウッド型ユーティリティで重心深度の深いクラブを組み合わせて解決する方が賢い解決策になるかも。ここが心配な方は、試しにワンレングスのロングアイアンやウッド型ユーティリティ等を一本借りたり、買ったりして試してみると良いかもしれません。短いと鋭く振れるので、事前に思うほどロフトの少ないクラブを使いこなせなくなったりしないというのが私の個人的経験です。特に、高いフェードで距離を出すことが出来る人は、クラブを鋭く振ることができるタイプの人で、しかもロフトを殺さずに振っていくタイプの人なので、ワンレングスのロングアイアンやユーティリティを比較的容易に使いこなせる人である可能性が高いのではと思います。

ワンレングスアイアンに興味を持った多くの方の役に立つことを祈って筆を置きます。

 

 

 

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