何かあちこちで踊ってるレバナスという文字、ナス料理の一種かと勘違いしそうな言葉ですが、調べてみるとやっぱりレバレッジをかけてアメリカ株式市場の一つ、ナスダックに投資する方法のようです。この投資をやるのはいいのですが、この投資を長期でやったり長期積み立て投資でやったりするのは、矛盾をはらむ不利な投資になるのでやめた方が良いという話です。
その理由は二つあります。
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まず理由一つ目。これは一日と言った超短期の場合でも同じなのですが、原理的に指数の2倍3倍を丸々取れる話はこの世の中にはないということ。これは信託報酬と言ったコストがかかるからと言った単純な理由だけではありません。もっと深刻な理由があります。なぜ、一倍の資金しかないのに2倍、3倍のポジションが持てるのか、その理由は構造上、他人の資金を借りてる格好になるからです。俺は借金なんかしてないぞと思うかもしれませんが、ファンドやETF内でそれは実質行われています。例えば先物を用いて資金額を超えたポジションを持つ場合は先物の買い方が売り方に実質的に払う格好になる短期金利がその借金の金利として効いてきます。これは分離されてないので分かりにくいですが、株価指数先物の理論価格を十分理解すると納得できます。先物の買い方は期日までの期間分の金利分だけ現物価格よりも高く買う必要があり、後日精算及び決済するときは残り期間が短くなってその経過期間分の短期金利相当分だけ低くしか売ることはできません。本質的に買い方が売り方に投資期間分の短期金利を払っているのと同じ結果が先物価格の動きからもたらされる。これは先物ではなく、別のスキームであったとしても逃れられないものです。
そもそも2倍の投資成果とは言っても、実際は一日のような超短期でも「2倍マイナス短期金利」の成果しか得られない代物なのです。特にこれからのUS短期金利が上がって行って高い期間においてはこの影響は甚大で、「2倍マイナス短期金利」ニアリーイコール「一倍」という結果になりかねない。
これ、短期金利の低い円で借金して為替ヘッジしても短期金利差がコストとして上乗せされますので同じ結果になります。この世の中にはフリーランチはない。ただで自己資金を超えるポジションはもてないのが、身も蓋もない現実なのです。
理由二つ目。これは長期投資で効いてくる要因。レバレッジ投資はボラティリティがコストとして跳ね返ってパフォーマンスを悪化させる要因になります。
例えば、2日かけて原指数が上がって下がって元に戻っても、下がって上がって元に戻ってもレバレッジ投資結果は元本割れになります。これは自身で一度計算してみるといいです。原因は、日単位でポジション調整されてその時の資金の二倍のポジションを必ず持っているから、上げの時に持ってるポジションの大きさより下げを食らう時のポジションの大きさの方が必ず大きくなることから来る構造的な問題です。これは昔から指摘され続けていますが、過去を知らない若い投資家は知らない人が多いのでしょう。
この二番目の要因で行ったり来たりを繰り返す度にレバレッジ投資はリターンを毀損していきます。日経平均等のあまり上がらずヨコヨコで行ったり来たりだと、原資産は少なくとも長期的には下がってないのに、レバレッジビークルの方は盛大に元本割れの右肩下がりで早期償還して消えて行ったりします。
上記の2つの理由で、レバレッジ投資ビークルの投資成果は超長期では謳い文句の原資産の2倍3倍とは程遠いひどい結果になることが典型的です。
構造的に長期投資には不利な要因をはらんでいる商品で長期投資をやるのは、シンプルに言って自殺行為。運良く右肩上がりが超長期に渡り続き、目立った損害を受けずに成果を得る確率はゼロではありませんが、その確率は天文学的に低い。自ら構造的に勝ち目の薄い勝負を挑むのは愚かすぎる。還元率9割のパチンコで資産を作ろうとするくらいの無謀なことだと思います。
レバレッジ投資ビークルは短期の投機で使用するもの、投機をするつもりがなければ無縁であるべき商品です。