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ゴルフ – ハンドファーストは飛ぶ。しかし多くの人が上手くハンドファーストに打てない原因がある

表題の件、年が明けてからゴルフスイングでハンドファーストに打つことを試していて、その過程で、ハンドファーストに打つとびっくりするほど飛ぶということと、多分多くの人がハンドファーストなショットができない理由についてわかった気がしましたので、このエントリーでその内容をまとめてみようと思います。

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実際、ハンドファーストに打てる様になってみると、軽く打ってるのになんでこんなに飛ぶのかというくらいにボールが飛ぶようになりました。どのクラブも軽く2クラブ分くらいは有に飛ぶように変化します。インパクトロフトが2クラブ分くらい立っているのだろうから、物理的には当たり前の現象なのかもしれません。

ある意味、不思議で面白い現象なのが、クラブの中で最もロフトの小さいドライバーも飛ぶようになることです。2クラブ分くらいインパクトロフトが立ってしまったら、ほぼロフトゼロになって地を這うライナーになってもおかしくはないですが、そうはなりませんでした。体が自然とアッパーブローに振って相殺しているのかもしれません。結果的に飛ぶようになったので、ボール初速が上がったのか、スピン量が減ったのか。測ってないので分かりませんが、多分その両方なのではと推測します。

物理的に考えて、ハンドファーストをアッパーブローで相殺しても、クラブと腕を一直線にしてレベルに当てるのと現象として同じにはなりません。間違いなく、ハンドファーストとアッパーブローの組み合わせの方が、フェースの示す向きのベクトルとヘッドが進む方向のベクトルの角度が近づきますので、フェースに垂直な方向の力が強く伝達され、フェースに並行な力、つまりスピンを生む力が減って、スピン量の減少とミート率の向上が両方起こると思います。単純な物理の考え方でこれは推測できます。高くスピン量が適切な程度で少なくボールを打ち出すことができれば遠くに飛ぶことは、現代のゴルフ界の物理的な常識と言っていい。多分これが起こってるので、ドライバーでもハンドファーストで打つと飛距離が伸びるのでしょう。このあたりの話は、高校の物理や高校数学の基礎解析で出てきたベクトルの考え方の話になります(懐かしい)。

このハンドファーストに打とうとする試行の過程で、多分多くの人がハンドファーストに打つことが難しい原因となっている要素に気づきました。自身がハンドファーストに構えて、その形を変えないように振ろうと試みても、ボールが高々と上がってしまい、明らかにインパクトロフトが小さくなっていないだろうという球筋が続き、それを修正しようとして、根本原因にたどり着いたからです。

原因はダウンスイングからインパクトあたりでの下半身の使い方でした。いわゆる地面反力と呼ばれるような、ダウンでの沈み込みからのインパクト前あたりでのジャンプの動き(実際には足の踵は浮かないとしても)が手首の早期のリリースを起こしていたのです。いくらハンドファーストにクラブヘッドをボールに当てようとしても、手首の力は下半身と背筋等の力と比べたらゴミのように弱いものですから、この垂直方向の強力な力が手首に加わったら、いとも簡単に手首の角度はほどけ、腕とクラブは真っ直ぐな状態になってしまいます。ヘッドを速く振ろうとしたら、自然に下半身等の大きな筋力を使って加速させようとするので、この体の上方への動きが発生するのだと思います。私も長年のゴルフ人生の経験を経て普通にこの動きを行っていました。ある意味、重いものを体全体の力を使って加速させようとした時に人間が本能的にやってしまう動きなのではと思います。

似たような物理現象の例として身近なもので示すと、鉛筆の端を軽く親指と人差し指で摘んで、斜めの角度をつけて持っていても、急激に上に向けて力を加えて指を持ち上げ引っ張り上げたら、鉛筆の角度はほどけ、地面と垂直になってしまうのと同じ現象です。

この物理的な現象が、容易にはハンドファーストで打つことができない原因になって立ちはだかっているから、多くの人がハンドファーストに打つことのメリットや重要性を知っていながら、ハンドファーストで打てていないのだと思い至りました。自分も、何十年もゴルフをやっていながら、延々とハンドファーストで打つメリットを享受せず、享受できずにゴルフをし続けて来たことになります。

ゴルフはこういうことが多いですね。何十年も真の原因に気づかないでいて、ある日突然にその仕組みに気づく。

また、この手の話はゴルフにはよくあって、ハンドファーストに打てないのは手首の角度がインパクトでほどけているからだ、だからインパクト以降まで手首の角度をほどかないようにしましょうで終わっているケースが山ほどある。現象としては正しくても、手首の力はか弱いですから、その角度をほどかせてしまう強大な力の出力の方をなんとかしないと、物理的に問題は解決しない。どんなスーパーマンでも手首周りの筋力を下半身主体の強大な筋力に打ち勝てるほどに鍛えるのは不可能に近い至難の技ですから。

というわけで私はこれを解決するのに、まずダウンスイング以降の下半身の使い方を変えました。ダウンスイングからインパクトに向けて、いったん沈み込んでから両膝が伸びて上体と下半身の角度を伸ばして両腕と手首に強大な上方の力をかけるのではなく、左膝はインパクトでも伸ばさず上体も起こさず腰を前に出さずに左腰が後ろに回っていくような動きに変えました。これでハンドファーストなインパクトができるようになり、ドライバーでもほれぼれするような低めの強烈な球が飛んで行くようになりました。

ちょうど、D.ジョンソンのようなスイング中の体使いに似た動きになります。

それでも、ここ一番飛ばそうと思った時には、元の動きである、シットダウンからのジャンプアップの動きが出てしまうのか、ボールが飛ぶどころか、低いフック目のミスショットになることが多く、ヘッドを速く振ろうとした時に起こる体の本能的な動きは根が深いことが経験としてわかりました。

実際、多くのジュニアゴルファーや多くの女子プロ、男子のメジャーチャンプ等に至るまで、このジャンプアップの動きは数多くの名手のスイングの中に見られます。明らかにこの縦の大きな力は横の力に変換することができてヘッドスピードの源泉になることは疑いありません。問題はジャンプアップの動きそのものにあるわけではなく、それで手首の角度が失われる場合に大きな損失が発生するのだと思います。

多分、上の解決方法で根気よくやっていけば、それでいずれこのしつこい本能的な動きも出なくなっていき、上手く行くようになるのだろうとも思いましたが、根気よく努力する以外の良い方法はないかと思案し、ある代替案を試しました。

それは、はなからジャンプアップができないようにアドレスすることです。具体的には、アドレス時に両膝を硬直しない程度に自然な感じで伸ばし切っておくことです。こうすると、バックスイングからダウンスイングにかけて、インパクトでジャンプアップするための事前準備であるシットダウンの動きが不可能になり、結果スイング中にジャンプアップしたくてもできないようになり、ここ一番飛ばそうとした時の意図しないミスショットが消えました。ジャンプアップのエネルギーが全く使えなくなるため、飛距離が落ちるかもと予想したのですが杞憂でした。相変わらず、この方法でもハンドファーストにボールにあたり、球が変わらずぶっ飛んでいきます。ジャンプアップしていなくても、足は普段ならない部分が筋肉痛になり、ボールを飛ばすためのなんらかの働きをしているようです。おそらくですが下半身の力は上方向ではなくフィギュアスケートのジャンプのように横回転方向に多く使われているのではないかと推測しています。無自覚の、ただジャンプアップできない中でヘッドを速く振ろうとして体が起こす動きなので、実際その通りになっているかどうかは定かではありませんが。

手首と前腕の力は、両脚と背筋、腹筋の力と比べたら比べ物にならないほど弱い。これは力の強い人でもか弱い人でも皆同じですので、多くの人がこれが理由でハンドファーストで打てないのではないかと推測します。それだけでなく、ハンドファーストで打ててなく、ヘッドがコントロールを失って上方に向いているということは、フェースの左右の向きもコントロールを失っている可能性が高い。私もこの下半身の動きの修正に気づくまでは、ハンドファーストに打とう打とうとしても球は高く上がり、右にも左にもボールが散っていました。逆にいうとハンドファーストなインパクトはヘッドをコントロール下に置き、左右のブレをコントロールする方法でもあるということになると思います。

思えば、同伴競技者が驚くほどのヘッドスピードでティショットしても、行ってみると同伴競技者と全くボールの位置が変わらないとか、ユピテル等で練習場でボールの飛距離やヘッドスピード等を測定した時に、強振してヘッドスピード5m/sも速く振っても、いつも決まってミート率が低下して飛距離は軽く振ったのとほぼ変わらないとか、ドライバーを軽く振った時に時々びっくりするほど飛ぶことがあるとか、皆このハンドファーストで打てているか打てていないかが関係する事象だったのだと思い至りました。

上手な人のミート率が高いのは、単にいつも芯で打てる高い技術があるからという理由だけではなく、適切にハンドファーストにコンタクトして、スピン量を増やす方向ではなくボールを前に飛ばす方向に多くの力を加えることができているから、ヘッドスピードの割にボールの初速が上がりエネルギー伝達効率の指標であるミート率が高まるというカラクリだったのです。

逆に強振すればするほど、無自覚のままだと体の本能的な上への出力を生み、飛ばそうとすればするほど強い縦の力の発生が強い横への力の変換を起こし、その力に手首のジョイント部分が耐えられなければ手首の角度は消失し、ハンドファーストどころか確実にハンドレートで当たる原因となってエネルギー伝達効率が最悪となりミート率が大きく落ちるわけで、ヘッドを速く振りたい本能が、わざわざ効率の悪いインパクトを発生させて、もう徒労と言っていい無駄な努力になっていたという事なのです。

この、良い結果を得ようとするが故の悪い結果を産んでしまう最悪の循環を断ち切る必要があって、これを無自覚、無理解のままの大量の練習等で乗り切るのは、努力と体の資源と時間とお金の無駄遣いと言ってよいのではと思います。

それだけならまだいいのですが、それでもこの悪循環に対する本質的な解決策にたどり着けず、真に有効な解決方法を持たないままだと、頑張って振ったところで飛距離はいってこいでほぼ伸びませんから、結局軽く振って自身の身体能力をセーブしてヘッドスピードを落として打つことが唯一の解決策になってしまいかねず、それでは本末転倒です。巷でよくある、ゆっくりとした動きで形を覚えたり、片手振り等でハンドファーストを習得しようとしたりする試みは、両手で身体能力をフルに使った時に手首の力と全身が生む強力な力との強弱の関係で起こる問題には無力で解決策にはなり得ません。結局は、この問題を起こさないようにゆっくり打って自身の潜在能力をフルに生かさず蓋をしましょうという結論になってしまいます。下手したらこれでゴルフ人生を終えてしまって、自身の潜在能力の7割8割程度の飛距離で一生を終えることにつながりかねません。冗談抜きでこのリスクは私にも厳然として存在していました。

今回の事で、ゴルフは物理だとの思いを強くしました。同時にこの分野は今でも十分な科学的なアプローチがなされておらず、ハンドファーストで打てないのはコックがほどけているからで、コックをインパクト以降までほどかないようにしましょう的な、全然解になってない論理が平気で跋扈する世界のように思います。

だからこそ、今までずっとこれに気づかずにゴルフをしてきたのですが、何十年もゴルフをやってきてこれに今気づくというのはやっぱり驚きです。未だにこんな発見があるのかという驚き。でもハンドファーストに打てれば軽く振ってもボールが驚くほど飛んで行くので、よりゴルフが楽しくなること、うけあいです。

どうやってもハンドファーストに打てないと悩んでいる人、上記を参考にしてみてください。