以前、テンフィンガーグリップからオーバーラッピンググリップに変えたらヘッドスピードが約15%速くなって飛ぶようになった事を書きました。しかし、その後クラブヘッドが勝手に走ってしまってヘッドスピードがコントロールしづらくウェッジだけテンフィンガーにしたりしてましたが、結局いろいろ切り替えたりするのが面倒で、テンフィンガーグリップに戻ってしまっていました。
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今回、テンフィンガーからベースボールグリップへの変更を試してみました。即ち、左手と右手の指を絡めたりせず10本の指で握るのは同じなのですが、今回は野球のグリップと同じように左手親指をシャフトの上から外すグリップを試してみたわけです。この辺の定義は曖昧で、かつ細かく拘る人以外はどっちでもいいという感じの話ですが、話を正確に表現する為に、同じ10本の指で握るグリップのうち左手親指をシャフトの上に乗せるグリップをテンフィンガー、シャフトから外すのをベースボールグリップと呼ぶことにします。この手のグリップをしてる代表的なプロは、テンフィンガーが勝みなみプロ、ベースボールが時松隆光プロが有名です。
今回、テンフィンガーからベースボールにグリップを変えて最初にびっくりしたのが、フィニッシュでクラブが止まらない事でした。文字通り右肩とクラブヘッドが目標を向く、まるで女子プロのようなフィニッシュに自動的になってしまう。そこまで大きく振り切れれば否応なしにヘッドスピードが上がりボールは飛んでしまう。今回正確にヘッドスピードは測ってませんが、以前、テンフィンガーからオーバーラッピングに変えた時と同じかそれ以上のヘッドスピードアップしてそうな感じです。
前回のオーバーラッピングは、支点が2点から1点になることでのヘッドスピードアップでしたが、今回はそうではなく左手親指がスイング中に邪魔をしないことによる可動域のアップがヘッドスピードアップの要因になっているようです。おそらくはフォロー側だけでなく、バックスイング側もコックが余計に溜まっていてそちら側の可動域の増加もありそうです。
逆にいうと元々の左手親指の可動域がむちゃくちゃ広くて柔らかく、前腕につきそうなくらい左手親指の根本の関節が柔らかい方は、ベースボールグリップによる可動域の向上は見込めず、このメリットは特に得られないということになりそうです。
また多くのプロが左手親指のつけ根の故障に苦しむのはフィニッシュで左手親指がこれ以上曲がらない方向にシャフトが押すことにより、左手親指の付け根が悲鳴を上げるのだろうという事がわかります。
実際、現代のトッププロは普通に300y超ドライバーショットのロングドライブを求められるせいか、フィニッシュで右手グリップがいわゆるクソ握りと言われるグリップになっているプロが非常に多い。例えばマスターズチャンプの松山秀樹プロや同世代の石川遼プロ、若手では、金谷拓実プロ、女子でもメジャーチャンプの渋野プロ等枚挙にいとまがない。これは、昔のトッププロではあまり見られなかった現象だと思います。昔のトッププロはフィニッシュでもアドレス時の形と同じく右手親指と人差し指でいわゆる引き金を引くトリガー型というかV字型が美しく維持されている人が多かった気がします。やってみるとすぐに分かりますが、フィニッシュで右手のV字型が解けてクソ握りに近い形になると右手指のサポートがなくなり左手親指一本でシャフトが左手親指を曲がらない方向に押す力に対抗する必要が生じます。これは左手の親指を痛めても不思議じゃない。実際に松山プロも渋野プロも左親指付け根を痛めています。多分、アーノルドパーマーや、シニアプロの藤田プロの様にフィニッシュでシャフトの力を横に逃すとかしないと、左手親指一本だけでシャフトの勢いを直接受けるのはかなりの負担だと思います。
私は、左手親指を痛めるところまで行ったことはないですが、ドライバーの調子が良くてラウンドで思いっきり振り切って飛ばしたラウンド後に、左手親指の付け根が疲れているのに気づいたことは何度もあります。ああこれでトッププロの皆々は左手親指の付け根を故障するんだなとそういう時に合点がいきます。
ベースボールグリップが左手親指に故障を抱える人に向いているグリップというのはその通りで、どんなに振り切っても左手親指をシャフトに乗せておらずフィニッシュでシャフトの負荷が指にかからないので、もはや指を怪我しようがありません。これもこのグリップの長所かと思います。
テンフィンガーグリップが長かったせいか、左手親指をシャフトから外すベースボールグリップにしても特段違和感もなく、変えたその瞬間から普通に打てました。特に当たり損ないのショット等に苦労する等なく自然に移行できました。
出る球は、ヘッドがむちゃくちゃ走ってボールが捕まるので普通に打つとドローになりがちです。あまりに気持ちよくボールが捕まるので左が心配になる感じで、日頃よく行く都会の狭いコースではフェードを打ちにいかないと、狭いコース内に収まりそうにない感じです。間違いなく、都会の狭いコースより、広くて長いチャンピオンコースに向いたグリップかと。ただグリップの支点は2点のままなのでボールの操作は易しく、フェードを打ちにいけばわずかに右回転の球を意図して打つのは簡単な感じです。
これはアイスホッケーのスティックを左右のグリップを離して握ってる姿をイメージすると分かりやすい。間違いなく支点を2点にすると長い棒の先を意図通りにコントロールしやすいです。これで以前ショートゲームが難しくなるのが嫌でオーバーラッピングからテンフィンガーに戻ったわけです。
間違いなく、このベースボールグリップでのゴルフは豪快なロングショットを生かした大味なバーディ狙いゴルフになりそうで、このグリップでずっとやっていくかどうかは不明ですが、しばらくはこのグリップでのラウンドを重ねて行こうと思っています。