なぜ、部品発注や部品会社業績からiPhone売上台数、Apple四半期決算を読むのが敗者の戦略なのか

By | 2018年5月11日

表題の件、個人的には書くまでもなく至極当然の話なのではありますが、今回の日経をはじめとするメディア、マスコミやアナリストの大失敗を経ても、世間では特段の学びも進んでおらず、インターネット上では部品会社業績からの早くも新たなゲス(推測)が始まっています。

部品発注、部品会社業績から最終商品の販売成果を推測する敗者のゲームはこれからも続きます。賢い投資家になるためには、こんな敗者のゲームに捕まることなく、一刻も早く卒業すべきだと思います。

そこで、この部品発注、部品会社業績から最終商品の販売成果を推測するゲームのリスクと問題点について、簡単にまとめておこうと思います。

 

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部品発注から最終商品の販売業績を推測するゲームをする人は、部品発注量が部品出荷量、最終商品生産量、最終商品出荷量と最終商品販売量に正直に連動することを暗黙に仮定しています。ですが、これがいつも成り立つことは誰も保証してくれず、自分で確認するしかありません。

これは、書くまでもなく不可能です。

部品発注されても、その通り部品出荷されるかは不明で、順調に部品出荷されてもその他の部品が何らかの理由で止まったり、今回のAppleの事例のように何らかの理由ですぐに最終商品生産に使われなければ最終商品生産は部品発注の流れより遅くなります。逆にこれも今回のAppleの事例のように短期的に貯蔵していた部品在庫で最終商品生産すれば部品発注の流れより多くの最終商品が生産されます。生産された最終商品は船が止まれば生産と同じスピードでは出荷されません。出荷された先では飛ぶように売れて棚が空になりかけているかもしれず、逆に全く売れずに棚がつかえているかもしれません。

問題はこれだけに留まりません。部品会社は競合する代替部品会社との競争に負けつつあり、受注割合を減らしていたり、受注単価を減らしている最中かもしれません。これらのことが全く起こっていなくても、部品会社がAppleにのみ商品納入しているのでなければ、Apple以外の他社の受注が増減している可能性もチェックしなければなりません。特に今のような、中国での極端な市場不振により、OppoやVivoの二桁マイナス成長とたくさんの弱小中国メーカーの対前年マイナス50%とも言われる局所不調がある場合には、この可能性の有無のチェックは欠かせません。

当然のことながら上記の記載がチェックすべきことのすべてではありません。例えば製造時歩留まりの変化等の、外部から確認することが極端に困難な要素もあります。

果たしてこんなチェックを全て行うのは現実的でしょうか?そんなわけはありません。

これを全てできる人は、世の中の全ての情報を得ることができてその情報を全て適切に処理できる人、すなわち神様だけです。

部品発注や部品会社業績で企業業績を推測したり報道する、マスコミや一部アナリストが度々こっぴどい間違いをするのは、当たり前なのです。敗者のゲームをしているのだから。

間違っても資産を増やして早期リタイアしたいと言った投資家は参戦するべきではないゲームです。

私は、昔この愚かなゲームをして市場が致命的な間違いをしていることが明らかな場合に、そのノイズで下がった株価を利用して安い価格で株を買うのに利用したことはあると思いますが、自身で積極的に部品発注情報、出荷情報等を利用した投資戦略を立てて実行したことは一度たりともありません。正直、バフェット式の集中投資、安全域を確保した長期投資の場合は、得られるリターンは大抵3倍〜5倍以上とかであって、こんな部品出荷情報などを利用して仮に運良くかつ首尾よくリターンを得たとしてもそのリターン幅は5%とか10%くらいのものです。かける労力と取るリスクに対し、バカらしくなるくらいのローリターンなのです。

バフェット氏が今回言ったセリフを翻訳、意訳すると、「3ヶ月間に売れたiPhoneXの台数を予測するなど、お前らバカなのか?」となります。そのビジネスに確固たる堀はあるか、その堀は長期の将来も継続する性質のものか否かを見極めることに比べれば、確かに本当にどうでも良いことです。

 

 

 

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